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カラムの保護#1

カラムの保護#1

ろ過か遠心分離か?

私がHPLCの分野の仕事に長く携わっている様に、皆さんもある分野の仕事に長く携わっていると、その知識を当然のことだと思うでしょう。例えば、HPLCカラムをどのように保護するかと言うことに関する知識もその例です。トム・ジュピレ氏と私が開いているHPLCの教室では、受講者に対して冗談で、カラムの寿命を永久に持たせる最も良い方法は、カラムを箱に入れたままにしておくことだと言っています。しかし、これは到底実用的ではありません。そこで今回は、カラムに入ってくる粒子状物質を防ぐ方法について、紹介します。

HPLCカラムで最も多い不具合の原因の1つは、カラム入口のフリットに粒子状物質が詰まることによる、カラム圧の上昇です。分析試料あるいは装置からの粒子状物質がカラムに到達しないようにする方法には、主に以下の二つがあります。つまり、粒子状物質がシステム内に入らないようにする方法、あるいは、それらがカラムにダメージを与える前に除去する方法です。今回は、前者について、そして、次号では後者について説明します。

粒子をシステム内に入れない

カラムフリットの目詰まりを防ぐシンプルな方法の一つは、試料中の粒子がシステムに入って来るのを最初の段階で防ぐことです。これには、試料ろ過と遠心分離が最も便利な方法です。

試料ろ過は、一見すると、とてもシンプルな操作であると思われます。単に、試料をバイアルに入れる前に、0.5µmの孔径のフィルターを通すだけです。もし、皆さんが、粒子状物質による目詰まりが起こり易いU-HPLCシステムを使用するのであれば、0.2µm孔径のフィルターを使用して下さい。この方法は、かなり有効な方法ですが、私個人的は、以下に示す理由により、あまり好きではありません。

試料ろ過には経費がかかる

ろ過に使うフィルターは1試料当たり1ドル以上のコストがかかります。これは、1つの試料をろ過する場合でも、96ウェルプレート用の試料をろ過する場合でも同様です。また、ろ過には時間がかかります。ことわざで言われている通り、まさに、時は金なりです。

試料ろ過は回収率に影響する

ろ過をする際に、気を付けなければいけないことの一つは、試料の回収率が、ろ過により変化していないかを確認することです。例えば、試料の濃度に依存して試料の回収率を変化させてしまうような、フィルターへの吸着による試料のロスが無いか、確認する必要があります。もし、このような試料の吸着が起こっていれば、高濃度試料よりも、低濃度試料の回収率に大きな変化があると考えられます。また、ろ過操作では、分析操作の妨害になるような物質がフィルターから溶出してくる可能性が常にあります。そのような物質が無いかを、注意深く確認してバリデーションの検討をする必要があります。つまり、より、時間とお金がかかります。

全ての試料をろ過する必要がある

もし、分析方法にろ過操作を組み込むのであれば、全ての分析対象試料をろ過する必要があります。なぜなら、上記で述べたように、回収率とバリデーションに関しての問題があり、全ての試料を同じようにろ過する必要があるからです。ここでも、やはり時間とお金がかかります。

ですから、時間とお金がかからない、ろ過の代替法があれば、その方法を選択するべきでしょう。私は試料をバイアルに入れる前に、遠心分離する方法に一票を投じます。皆さんが試料前処理操作をする際に、最後のステップで試料がコニカルチューブ、プラスティック製エッペンドルフチューブ、ガラスバイアルあるいは、96ウェルプレートに入るように、前処理操作をデザインすることは簡単です。これらの容器は、そのまま遠心分離機に入れて、遠心分離をすれば、粒子物質を容器の底に集めることが可能です。私は卓上型の遠心分離機を使用しており、回転速度を最大にして、約5分程度、遠心分離します。そして、上澄みをバイアルに注意深く移して、分析するだけです。私は、この遠心分離操作とインラインフィルターの使用を組み合わせた方法を好んで使っています。この方法については、次号で紹介します。

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