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インタクトタンパク質分離に塩グラジエントと pHグラジエントのどちらを選択しますか?

インタクトタンパク質分離とチャージバリアント分析は、塩グラジェントを利用したイオン交換クロマトグラフィー(IEX)が一般的ですが、pHグラジエントが利用できることはあまり知られていません。今回は塩グラジエントとpHグラジエントを比較し、そのプロセスを効率的に行う、サーモフィッシャーサイエンティフィックの製品をご紹介します。

塩グラジエント、それともpHグラジエント?

インタクトタンパク質の分離において、塩グラジエントは多くの人が使い慣れている方法です。例えば、バイオ医薬品の場合のインタクトタンパク質は、一般的にはモノクローナル抗体(mAb)ですが、塩グラジエントでは、このmAbとナトリウムイオン(Na+)がIEX固定相のイオン交換基を奪い合います。塩濃度が上昇すると、イオン交換部位の争奪でナトリウムイオンがmAbに勝るため、mAbは溶出し始めます。このmAbはその後、カラム全体にわたり保持と溶出を繰り返します。このカラム全体にわたる連続的相互作用は、カラムの長さが長いほど分離が良好になります。

インタクトタンパク質分離に塩グラジエントと pHグラジエントのどちらを選択しますか?塩グラジエントの欠点は、前述のとおり、カラムの長さで、分離は改善しますが、分析時間が長くなり、反対にバックプレッシャーが高まります。また、最適な分離条件を得るために多数の異なる組成のバッファーを評価する必要があるので、複雑で時間がかかります。さらに、サンプルが高塩濃度バッファーに含まれている場合、カラムヘッドで溶離液とのバッファー交換が起こるという問題があります。この結果、カラムヘッド付近の溶離液は一時的に塩濃度が高くなり、mAbのイオン交換基への保持は塩濃度が低下するまで妨げられるため、事実上短いカラムを使用していることになり、分離が低下することになります。

一方、pHグラジエントは、これまでさまざまな問題があったため使用が限られていました。その中でも、一番の問題は、再現性のある直線のpHグラジエントを生成することでした。そのため、グラジエントを形成するためのpHバッファー原液を調製することは容易なことではありませんでした。

しかしながら、pHグラジエントを使用する利点もあります。pHグラジエントでは、mAbは固定相のイオン交換基に結合します。このときpHを上昇させるグラジエントを実行し、mAbの電荷が等電点(pI)において全くチャージをもたない状態(ニュートラル)になると、mAbは遊離し、溶出します。塩グラジエントとは異なり、これ以降は固定相との相互作用が発生しないため、カラムの長さは分離にほとんど影響しません。

近年、pHグラジエントバッファーの改善によりpHグラジエントの問題は、ほぼ解決し、今では高分離と高い再現性で迅速にメソッド開発と分離を行うことができます。そのため、pHグラジエントアプローチは大変魅力的で、注目されています。

それぞれのアプローチには一長一短ありますが、pHグラジエントの長所をぜひお試しください。

インタクトタンパク質解析ワークフローについて、さらに知りたい方は、当社のホームページで詳しく紹介しておりますので、ご覧ください。

 

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