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テーリングの比較

テーリングの比較

前号では、ピークテーリングの計算法を紹介しました。本号では、いくつかのピークテーリングの例について詳しく見てみましょう。そして、それらが実際に、何を物語っているのかを見てみましょう。ディスカッションを行うために、様々な度合いのテーリング(アシンメトリーファクター(As)をテーリングの計算に使用しています)を示している図1のピークについて考えましょう。

新しいカラムを使う時には、ピークの僅かなテーリングあるいは、リーディングを示すことがあります。多くのカラムメーカーは、0.9から1.2程度までのテーリングを許容する独自の品質管理(QC)プログラムに基づいて、カラムを販売する際の仕様を決めています。これは、ピークのわずかなテーリングやリーディングは、まったく問題が無いということを意味しています。この様なピークを、図1の上段の二つの例に示しています。

ピークテーリングがひどくなると、結果に一層満足できなくなります。もし、私がテーリングの規制ガイドラインを検討するとすれば、ピークテーリングがおおよそ2.0までは、特に大きな問題とせずに許容するでしょう。図1の下段左のピークテーリングが2.0のピークにUndesirable(好ましくない)と書きましたが、これは、仮にそれが許容されたとしても、私がこれほどテーリングしているピークは好ましく無いと思うからです。

ピークテーリング2.0を許容することの可否については、一層の議論の余地があるとしても、ピークテーリング4.0の(図1下段右側)ピークは、可能な限り、避けるべきであろうと思います。この様なひどいピークテーリングをしているピークは潜在的な問題を伴っています。それらについて以下に紹介します。

積分

HPLCデータシステムは、ベースラインの傾きの変化や、連続的に上がるあるいは下がるデータポイントの数を監視することによって、ピークの始まりと終わりを決めています。このピーク検出プロセスは、僅かにテーリングあるいはリーディングしたピークの様に、ベースラインにおいてピークが急激に上昇または下降している場合には、とても簡単です。しかし、問題ピークのテーリング部分はとてもゆっくりと減少しているため、ピークがいつベースラインに達したかを判断することが難しいのは理解していただけるでしょう。これにさらに、ピークサイズの減少、ベースラインノイズの上昇、そして場合によっては更にクロマトグラムのドリフトが加わることにより、ピークの終わりを一貫して指定することはとても困難になってしまいます。これにより、同様のピークであっても、異なるピーク面積を与えるかもしれません。ピーク間のピーク面積に大きな差が無かったとしても、その様なピークを上司に見せた時には、間違いなく良くは見えないでしょうし、ピーク終点のマーカーは測定ごとに前後にぶれるでしょう。

 

テーリングの比較

 

検出限界と定量下限

検出限界(LOD)および定量下限(LLOQ)は、ピーク面積よりも、より強くピーク高さの影響を受けます。最も重要なのは、シグナル対ノイズ比であり、それはピーク面積ではなく、ピーク高さに反映されます。その結果、図1において、全てのピークの面積が一定であっても、下段右側のピークは、上段左側のピークよりも、LODおよびLLOQが2倍以上の値であることが容易にわかります。

分離度および測定時間

良くあることですが、二つのピークに対して、ある最低限度の分離度が必要な場合、ピークテーリングがあれば、これらのピークを、より離さなければなりません。このことは、ベースライン分離が要求されている場合、ピークテーリングを伴っているピークに対しては、十分な分離を得るために、より長時間の測定を行わなければならないことを意味しています。

ピークの純度

不純物に対する応答がメインピークに対して小さく、また、それらの検出器応答が類似している時は(例えばUV吸収スペクトル)、そのピークが純粋かどうかを判断するのはほとんど不可能です。また、大きなピークの後ろに小さなピークが溶出した時の様に、近くに溶出した2本のピークは、テーリングしている様に見える1本のピークとして観測される場合があります。もし、これら2本のピークの吸収スペクトルが似ていれば、テーリング部分が二つ目のピークから生じたものなのか、あるいは、純粋な単一ピークの形状が歪んだために生じたものなのかを見つけ出すことは、とても困難です。その結果、ピークテーリングが存在する場合、ピークの純度の信頼性は低いと言えます。

クロマトグラム上で私たちが望んでいない何かを引き起こすような、ひどいテーリングピークには、他の特徴もたぶんあると思いますが、幸運にも、多くの場合、高純度のタイプBシリカカラムの使用と、適切なpH値を有する十分な緩衝液の使用などのような移動相のコントロール等により、ピークテーリングは最小限に留めることが可能です。テーリングに影響するカラム関連ファクターについて更に知りたい方は、HPLC Solutions 34-35号を見て下さい。

 

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