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分析法の直線性

作成者: Separation Science Japan|18/03/27 0:00

分析法の直線性

Q: 私は、現在行っているHPLC分析法の直線性に関して、問題を抱えています。その分析法には、分析対象試料の誘導体化プロセスが含まれており、その後、UV検出器を備えたHPLCを使用して逆相モードで分離を行ないます。驚いたことに、検量線は二次曲線と非常に良く一致しましたが、直線のプロットとは一致しませんでした。私が何か間違っている可能性があるのか、教えていただけませんか?


 

 JWD: 最初に、私達の多くは直線の検量線を使用して分析をしていますが、ある特定の分析法で特定の検出器を使う時には、他の応答関数が適切な場合があります。しかし、私はあなたの質問から、検量線は直線のはずであるとの他の情報を持っているものとして、お答えします。

多くのHPLC分析法において、検量線が直線にならないと考えられる様々な原因があります。最も一般的なのは、試料そのもの、試料注入プロセスおよび検出器です。それぞれの原因について、上記と順番は逆ですが、個々に検討してみましょう。

UV検出器は、広い直線応答範囲を有しています。吸光度(AU)1.0までの直線的な検出器応答が、ほとんど全ての検出器の標準的性能です。検出器メーカーの中には、2.0AUと言った高い吸光度の応答までも、直線的であると主張しているメーカーもあります。私は、どちらかと言うと保守的なので、測定対象ピークで最も大きいシグナルを約0.9AU以下とし、どのシグナルについても、1.0AU以上にならないようにキープしています。これによって、全ての試料に対して安全な応答範囲で測定することが可能です。いくつかのクロマトグラムをチェックすれば、検量線が直線的ではない理由が検出器由来であるのか否かを、すぐに調べることができます。最も大きいピークの検出器応答はどれくらいですか?もし、それが1.0AU以上であれば、1.0AU未満の検出器応答を有するピークのみを使って、再度、検量線を作成してみて下さい。もしこれで、検量線が直線になったのであれば、濃度範囲を制限するか、あるいは非直線的な検量線を使用する必要があるでしょう。

オートサンプラーはきわめて精密(precise)ですが、正確(accurate)である必要はありません。例えば、私たちの研究室で行った、数台のオートサンプラーを使って10µL注入に対してn=6で行ったテストでは、RSDは0.3%程度でした。何台かのオートサンプラーは、設定した体積を正確に採取したものの、一方で、他の何台かは、それ程正確ではありませんでした。例えば、流体の流動特性のために、20µLの注入体積を設定しても、実際には18µLしか注入されない場合があります。これについては、私は一向に構いません。なぜなら、私は正確さよりも精密さを求めるからです。私は、同じ体積の標準試料と実試料を装置に注入します。従って、体積に関するいかなる誤差も排除されます。しかし、もし検量線を注入体積を変化させながら作成したとすれば、おろらく、良い結果は得られないでしょう。例えば、1、2、5、10、20、50および100µLの同一の標準試料では、適切な濃度にそれぞれ希釈した標準試料を同じ体積(例えば20µL)注入して作成した検量線の様に、良い直線性を示さないでしょう。ガラス製の容量器による希釈は、多くの場合、オートサンプラーで異なる体積を量り取る能力よりも、正確です。もし、あなたが同濃度で異なる体積の標準試料を使用して、検量線を作成しているのであれば、希釈した一連の標準試料を作成して同じ体積を注入して、検量線が直線になるかどうか確認してみて下さい。

検量線が直線にならないもう一つの原因で、今回のケースでも該当すると私が思っている最後の原因は、試料前処理プロセスです。試料前処理プロセスにおける誘導体化ステップ等は直線的ではない可能性があります。私は比較のために、二組の試料を調製して、このことを確認しています。まず、高濃度の参照用標準試料を調製して、それを誘導体化します。そして、その誘導体化済みの標準溶液を希釈して、濃度の異なる一連の標準試料のセットを調製します。次にその標準試料を、それぞれ同体積注入し、検量線を作成します。比較のために、誘導体化していない標準試料を希釈して、濃度の異なる一連の未誘導体化標準試料のセットを別途作成し、その後、それらを誘導体化します。理論的には、これら両者の標準試料セットは、同じ結果を与えるはずですが、しかし、二つの結果が異なれば、それにより、この問題の根本的な原因を見つけられるかもしれません。過剰な試薬の存在、表面への吸着、反応時間あるいはその他の要因が、今回のような問題の原因の可能性になり得ます。

HPLCにおける多くの問題と同様に、問題を要因ごとに分割し、それぞれの要因の挙動を検証することにより、ほとんど場合、問題を解決できます。

 

 

 

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