Q:C18カラムを用いる安定性を表示する検証分析法があります。別のメーカーにも同じC18カラムがあって,そのメソッド(手順書)に提示されているカラムの半分の値段で入手が可能です。カラムを(別のメーカーのものに)変えたら,その分析は無効なものになってしまうでしょうか?
JWD:それは手順書がどのように書かれているかによります。手順に「カラムXあるいは同等のものを用いるように」というような一文があるなら,カラムの交換は可能でしょう。しかしながら,カラムにC18であると表示されているから,またはそれと同等であると表示されているからといって,すべての方式に使用できるという意味ではないことに注意しましょう。カラムが等価値であることを検証する必要があります。新しいカラムによってあなたのシステムが適切に稼動するかどうかのテストです。保持時間,分解能,その他のパラメータがシステム適合テストで明示されたなら,そのカラムを使うことができるはずです。私なら,システムの安定性を調べるサンプルといくつかの典型的なサンプルを用いたテストを行ないます。これは,不純物と分離物質が正しい保持時間と濃度を示し,新しいカラムによる分析結果が古いものと同等であるかを確認するためです。それから,全部を文書化することも忘れずに─「文書化されなかったものは,起こらなかったものと同じだ」という格言もありますから。
USPデータベース(http://www.usp.org/USPNF/columns.html)を利用するのも同等のカラムを識別する良い方法です。最初のサイン・イン画面の次に,“About the Columns Data”(“カラム・データについて”)選択(図1)という画面が出ます。一番下の“Compare Columns,”(“カラムの比較”)を選び,データベースに入ります。最初に“USP Database”(“USPデータベース”),次に “PQRI Database”(“PQRIデータベース”)という2つのデータベースがあります。二番目のPQRIが目当てのものです。PQRIデータベースは図2のような画面です。そこで,
1.左上の選択ボックスの中から,現在使用しているカラム(あるいは手順で推薦されているカラム)を選びます。この場合は例としてACE 5 C18カラムを選んでいます。
2.その下のテキストに“You are viewing similar columns”(“類似カラムを見ています”)という表示が出ていること,それから“View Different”(“違うものを見る”)というボタンが表示されていることを確認してください。”View Similar”(“類似するものを見る”)というボタンになっていたら,クリックして,同等のカラムのモードに戻してください。
3.次に,“Acids present,”(“現在の移動相”)と “Bases present”(“現在の固定相”)という項目のチェック・ボックスをクリックして,分離のpH値を示します(この例の場合は2.8にしました)。
4.“Update”(“更新”)ボタンをクリックします。
選択したカラムを先頭に,カラムの一覧が現われます。最も類似している十種類のカラムが表示されるのです。データの2列目の “F”という項目が,類似度を評価しています。経験的に言って,その値が≤3であるなら,これらは同等のカラムの優秀な候補です。今の例で見るなら,Develosil と Hypersilのカラムが最も高い評価になっていますから,そのどちらかが第一候補となるでしょう。カラムのメーカーは,ウェブサイトへのリンクとともに右端に表示されています。
これは同等のカラムを検証する絶対確実な方法ではありませんが,製薬会社何社かによるテストによってかなり信頼性が高いことも示されています(J.W. Dolan他,“J. Chromatogr. A”1060(2004)59-74参照)。これがカラムの同等性を保証するものではないことにはご注意ください。でも,同等のカラムを選ぶ際の確率を高めるものではあります。必要条件に合致することを確認するためにカラムのテストはすべきですがね。