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カラムの不具合-再生

カラムの不具合-再生

年の春、私はロンドンでSeparation Scienceと共同で、HPLCトラブルシューティングの教室を開いていました。私は、教えることが好きなので、短期コースのプレゼンテーションは私の仕事の中でも、ハイライトの一つです。さらに、これらの教室は、しばしば私が書いているトラブルシューティングの"話のたね"を提供してくれます。今回の教室も例外ではありませんでした。私はいつも教室を始める前に、出席者の皆さんが持っているHPLCに関する問題あるいは質問を聞くようにしています。そして、それらの問題や質問を教室の進行の中で議論するようにしています。先日のロンドンでの教室で、ある出席者の方が、カラムが思っている程長持ちしないと、不満を口にしていました。その不具合の症状の一つは、高いカラム圧であり、多くの場合、クロマトグラム全体に渡ってひどいピークデーリングも見られたそうです。また、その出席者の方は、この問題が起こった時に、カラムをもう一度復活させる方法があるのだろうかとの疑問をお持ちでした。今回は、この問題に関して、更に、この問題の可能な解決策について、詳しく見てみましょう。

高いカラム背圧は一般的に、カラム入口側のフリットが部分的にあるいは完全に詰まることによるものです。フリットが詰まっていくにつれて、圧力は上昇していきます。これは多くの分析法で見られる現象で、カラムの経時劣化を示す徴候の一つです。この様な圧力の上昇が起こる場合には、冒頭で紹介した様に、クロマトグラム上の全てのピークに対する、ピークテーリングの悪化も伴います。その他にも、図1に示す様に、ピークが割れたり、2本になってしまう場合もあります。

分析中の全てのピーク形状が悪化する原因の一つを、図1の下部に示します。左側の図では、試料はカラム入口フリットを平行な流れに乗って(矢印)で通過しています。この時、全ての試料の流れは同時にカラム入口に達しており、水の流れが良くて、かつ均等な新しいシャワーヘッドに似ています。右側の図の様な、フリットに部分的な詰まりが起これば、フリットに入って来る試料の流れが均等ではなくなります。この図では、右端部分の試料の流れが歪められてしまい、他の試料よりも遅れてカラム入口に達しています。これは、右端の試料は他の試料よりも事実上遅れて注入されたということを意味します。この段階では、試料はカラム入口に位置しているため、まだ分離は起こっていませんが、試料成分中のいくつかの溶質分子は、他の溶質分子よりも遅れています。そして、スタートが遅れたのですから、その遅れた溶質分子は、先にカラム出口に到達する溶質分子に追いつくことは、決してありません。遅れた溶質分子は、結果として、クロマトグラム上の全てのピークの後端に、テーリング部分を形成します。極端な場合には、全てのピークが割れるか、あるいは2本に分裂してしまうでしょう。

この種の問題を同定するキーポイントは、クロマトグラム上の全てのピークが同様に歪んでいることであり、それはこの問題が、試料の分離が始まる前に起こったことを示唆しています。

この問題を解決する最も簡単な方法は、カラムを逆に接続してバックフラッシュをすることです。この方法はHPLC Solutions 16号に記載しており、それまでの使用時間の1/3くらいの時間で問題を改善できるでしょう。もしあなたが、この様なカラムフリットの詰まりの症状を経験したら、カラムを保護するために、HPLC Solutions 21号と22号に記載されている様に、試料をろ過するか、インラインフィルターを使用するか、あるいはこれら両者を行うべきでしょう。

図1. 上段:フリットの部分的な詰まりの徴候を示すクロマトグラム。下段左:カラムの入口への通常の試料の流れ。下段右:部分的なフリットの詰まりによる歪められた流路。

 

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